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INTERVIEW 03

経理特化型AIで実現する
バックオフィス業務改革
企業価値を上げる戦略経理
の実現

  • ファーストアカウンティング株式会社

    代表取締役社長

    森 啓太郎

  • 代表取締役CEO

    渡邊 一正

STORY

ファーストアカウンティングは、2016年6月に設立され、会計分野に特化したAIソリューション事業を提供している。AI-OCR関連と会計仕訳 のアルゴリズムをサービス化した「Robota」シリーズと、リモートワークでも経理業務を遂行できる「Remota」プラットフォームを中心にしたSaaS型のクラウドサービスで事業展開しており、社内リソースを単純作業から解放し、価値の高い経理業務へシフトさせることを支援する。2023年9月に東証グロース市場へ新規上場した。

プロローグ
  • 渡邊今日はありがとうございます。改めまして、上場おめでとうございます。

  • こちらこそ、本当にありがとうございます。

  • 渡邊上場の当日も現地にお邪魔させていただいて、また改めて感動させていただきました。ありがとうございます。森さんのご家族も来られてましたよね。

  • 渡邊さんに当日来て頂けると思わなかったので、びっくりしました。最近 IPO したいろいろな会社の方から、家族で行って良かったと聞いていたので、家族にも来てもらいました。

  • 渡邊まさにビジネスの世界の晴れ舞台ですから、ご家族も貴重なご経験をされたと思います。社員の方々も含めて、皆さん素敵な笑顔でしたね。素晴らしいセレモニーでした。

  • ありがとうございます。

  • 渡邊では、改めて色々お伺いしたいのですが、まずはファーストアカウンティングの会社や事業のことをお聞かせいただけますか?

  • はい。ファーストアカウンティングは、大手企業の 経理向けに、支払い処理などを自動化するサービスを提供しています。これがなぜ今、日本で社会ニーズができたのかというと、上場企業の社長さん、CFOさんというのは、今、企業価値を上げなさいと、プレッシャーを市場から受けているが、企業価値を上げるためのリソース不足という背景があります。

  • 渡邊そうですよね。

  • 市場の要求に応えて企業価値を上げようと思うとリソース不足なので、会計システムの入力や確認作業などの業務を自動化してあげることで、企業価値を上げる戦略経理にリソースを配分できるようになる、ということで需要をいただけていると思います。

ファーストアカウンティング創業のきっかけ
森 啓太郎 × 渡邊 一正
  • 渡邊そもそも起業しようと思った大きな変化やきっかけはどういうところですか?

  • そうですね。前職では食品系のネット通販の社長をしていまして、この時の経験で、中小企業同士の請求書のやり取りに、ものすごい課題を感じたんです。月初になると毎月、「入金はまだか?」という電話がくるんですね。これがもう、本当に嫌で。中にはご自身で請求書を送るのを忘れている方もいましたし、 一方で、私たちの過失で怒られたこともありました。納品書と請求書の区別がつかなくて、経理に上がってこない事もありましたし、送金に関しても、口座番号を間違えてしまうと、戻ってきてしまいます。取引先さんは資金繰りが危ない会社なのかと思ってしまいますし、信頼関係にひびが入ってしまいます。

    これらの問題の元凶となっている書類のやり取りをなんとかしたい。という事で、会計システムやERPを扱う会社を訪問したのですが、「この30年間みんなが取り組んでいるけど、できるわけない」「お金を払うと言われてもできないよ」と言われて。ああ、そっかとも思ったのですが、ちょうどその頃、自動運転がAIで当たり前にできるようになってきていたんです。西海岸の方に行った時に、AIが動画の情報をちゃんと捉えているのを目の当たりにして、止まっている請求書なら、絶対に同じことができるでしょ!というので起業を決意しました。

  • 渡邊誰もやらないなら、自分でやろうという事ですね。

  • 失敗もたくさんありましたが、これは何とかしなければと世に出したら、意外と同じところで悩んでいる方が多くて。今ではたくさんの企業様にご利用いただけております。

IPOを振り返って、 ターニングポイント
  • 渡邊私たちが出会ってもう五年ですか。創業されてまもなくの頃からお付き合いさせて頂きましたが、今回上場されたということで、これまでの道のりを振り返ってみて、苦労した事やターニングポイントを教えて頂けますか?

  • そうですね。企業はやっぱり常に危機と隣り合わせでして、外部環境が変わると必ず危機が訪れるんです。ただ、危機という字には、危険の「危」と機会の「機」の2つの意味があると思います。

    例えば、直近で一番大きな危機があったのはコロナ禍でして、我々が作った最初のAIは領収書のAI-OCRなのですが、マーケットニーズが一気になくなってしまったんですね。出張に行く人や会食も減りましたし、領収書が出てこなくなってしまいました。 新規のアポイントも全部キャンセルになって、営業電話をしようにもリモートワークでいないんですよ。これはやばいと思いましたね。危険な方の「危」ですね。

    森 啓太郎

    ですが、逆にチャンスはないだろうかと、既存のお客さまの声に徹底的に耳を傾けました。課題を聴いてみると、リモートワークが始まった事で請求書の支払いがすごく大変になったということでした。紙の請求書が会社に届くと困る、けれどPDFになると入力ミスが起こる。それならば、すでにあった請求書OCRのAIにユーザインターフェイスを加えてすぐに導入できるようにしようとプロトタイプだったRemotaの開発を急ぎ、提供をはじめました。すると、すぐに使いたいという人が増えてきて、ものすごくチャンスになったんですね。なので、危機というのは表裏一体なんですね。

  • 渡邊リモートでも活用しなければならない、と環境が変わったわけですね。

  • 起業すると、必ずピンチはくるんです。ですがその時、裏側にある機会を開けるかどうかがキモだと思っていまして。これを見つけるために、毎朝、日の出と共に起きてずっと考えていましたね。

  • 渡邊すごいですね。さすが森さんです(笑)