INTERVIEW 05
SAR衛星技術と地球観測ソリューションによる新たなインフラで持続可能な社会を実現する
エースタートとの出会いと印象

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渡邊エースタートとのつながりは、創業して5カ月の頃の2018年7月ですね。
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新井そうですね。最初のファイナンスのタイミングで、既に出資を決めた方が「どうしても紹介したい人がいる」と繋いでいただきました。おかげさまで、その後の資金調達が上手くいきました。ちょうど、宇宙特化型ファンドの構想を持たれていた時ですね。
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渡邊当時、僕の中で人生観が変わる出来事があって、宇宙ファンドを作ろうと決心した頃でしたね。結果として、これまでに約135億円の宇宙ファンドを立ち上げることができました。当時エースタートは周囲でもあまり知られていない創業3年目のVCでした。もともとアストロスケールの岡田さんから影響を受けていた流れもあり、さらに新井さんとの出会いがあって、これはもういくしかないというので、その年の11月に宇宙ファンドを立ちあげたんですよね。
実際にエースタートと一緒に仕事をやっていただいて、いかがでしたか? -
新井一つ目はまさに、今お話ししていたチーム作りでずっと伴走いただいて。ここが本当にとても助かりました。ありがとうございます。同じチームとして動いてくれる投資家、それこそ仲間として一緒にやってくれる投資家にこだわっていきたかったんです。
僕らも選べる立場ではないですけれど、そこがすごいエースタートさんでドンピシャでした。やっぱりチーム作りを一緒にやっていただくっていうのが一番大きいんです。
もう一つは、皆さんの実務経験、ご自身の苦労からくるチーム作りもそうなんでしょうけど、ファイナンスや事業計画はこれでいいのかっていうところもアドバイスだけではなく、一緒に手を動かして頂いたりしているので、そこがすごいと思います。「チーム作り」「ファイナンスを含む事業計画強化」みたいなところが、ハンズオンとはこういうことであるというレベルで助かりました。 -
渡邊そこまで言っていただいて嬉しいですね。
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新井実際に経験されているので、僕らもすごい説得力がありますし、具体性があるので、何したらいいのかっていうところにダイレクトに結びつくんです。
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渡邊僕も完全にチームに同化してやっていますから、お役に立てたかどうか置いておいても、それが伝わっているのは嬉しいです。
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新井会社が違ってもちゃんとした信頼関係を作った方がいいと思うやり方も、数年かかって教えていただきました。
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渡邊チームという言葉は社内だけではないですからね。
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新井本当に創業の時に思い描いていたチームが、やっと出来上がりました。
IPO前後での変化について
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渡邊IPOをされてまだ間もないのですが、上場の前後で心境の変化はいかがですか?
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新井実はあまり変わっていません。「ほっとした」や「良かったなぁ」という感覚があんまりなくて。これからすごい責任を持たなきゃいけないんだと感じています。たくさんの人のおかげでIPOを達成しましたが、IPOは一つのマイルストーンでしかないので、ここからちゃんと次の世代のインフラを作るというビジョンを掲げている以上、これまでよりもさらに責任感が付け加わっています。コミットメントの一次元上の感じですね。
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渡邊ミッションの大きさっていうのもあるのかもしれないですけどね。事業が人類のためだったり、少なく見積もっても日本のためじゃないですか。そういう使命って、普通は、まあ背負いたくても背負えなかったりするし、重みって大きいのかなと思います。IPO前後でぶれなかったというのが嬉しいです。
以前もお話したように、IPOすることで環境が良い意味で大きく変わります。ファイナンスや採用がやりやすくなるとか。方法論として増えるので、ぜひ活用していただきたいなと思います。 -
新井今後は、会社のビジョンやミッションみたいなものをIRでさらに発信していき、共感していただける投資家の方を増やしていきたいと思っています。Synspectiveは大きな成長が見込める会社なので、長期的に見ていただける投資家の方にもさらに入っていただけるように、長期のビジョンや事業成長を示していきたいです。
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渡邊絶対できますので、ぜひ頑張っていただきたいです!
今後のビジョンについて
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渡邊最後にいい機会なので、上場企業の社長として、今後のビジョンを教えていただけますか。IR的な側面があるかもしれませんが、どういう会社にしていきたいとか、どういう風に社会に貢献していきたいなどを教えていただきたいです。
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新井そうですね。まずは安全保障の需要と災害対応です。日本政府の需要にしっかりと答えていけるように、技術的な実証や衛星の製造能力を上げていきます。きちんと日本の安全保障の需要を満たすようになると、衛星の数は十数基ぐらいになってきて、この規模になると収益として安定できるようになるんです。
そこから先は、海外の安全保障の需要も並行して満たしながら、短期的に衛星の数を増やしていきつつ利益も増やしていきます。
その後、衛星のデータ取得のキャパシティが余ってくると、余力を使って新しいソリューションを提供できるようになります。例えば、災害対応のソリューションはマネタイズが難しいですが、衛星自体のコスト低減だけでなく、自動解析をずっとやってきているので、ものすごい安い価格で災害対応や森林のモニタリング、洋上発電所の厳選などが提供できるようになっていきます。サステナビリティ寄りの話を、ビジネス寄りの話にぐっとシフトしていけるんです。 -
渡邊続々と衛星を打ち上げて行く必要があるんですね。
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新井そうやって衛星の数を増やしながらキャパシティも増えていき、2020年代後半までに30機以上の衛星を運用できている状態を目指します。恐らくいろいろな国で同じような需要が増えていくと、もっと衛星の数が必要です。そこまでいくと、2030年ぐらいまでにはSAR衛星のコンステレーションに加えて、全地球をモニタリングできるシステムができていると思います。
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渡邊Synspectiveには、社内にデータを解析するソリューション部隊を持っているという部分をもっとアピールしていって欲しいです。やはりソリューションがないと、今のビジョンは逆に言うと実現できないですよね。それにたくさんの人に気づいてもらわないといけないです。
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新井今後、大量にデータが取得できても解析が捌けませんという状態になると思います。だから、自動解析ができるようにしておく必要があります。さらに、データではなくて解析の結果だけを買いたい、解析の結果をソースごと買いたいといったサービスの購入のされ方に移行していくと思っています。僕らは創業からその部分を見据えて開発してきています。
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渡邊SAR衛星を打上げる会社の中で唯一、解析まで自社でできることがSynspectiveの強みですね。ぜひその部分をよりアピールしていただきたいです。
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新井これまでの投資家の方々も、そこを評価してくださいましたからね。
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渡邊そうですよね。これでもなかなか分かりづらいので時間がかかると思いますが、根気強くIRで話していって欲しいですね。これからの大いなる飛躍を楽しみにしています。本当に今日はありがとうございました。
- インタビュー実施日:2025年1月
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GUEST
株式会社Synspective
代表取締役CEO 新井 元行
米系コンサルティングファームにて、5年間で15を超えるグローバル企業の新事業/技術戦略策定、企業統治および内部統制強化などに従事。その後、東京大学での開発途上国の経済成⻑に寄与するエネルギーシステム構築の研究を経て、サウジアラビア、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、ケニア、タンザニア、そして日本の被災地等のエネルギー・水・衛生・農業・リサイクルにおける社会課題を解決するプロジェクトに参画。衛星からの新たな情報によるイノベーションで持続可能な未来を作ることを目指し、2018年に株式会社Synspectiveを創業。
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INTERVIEWER
株式会社エースタート
代表取締役CEO 渡邊 一正
京都大学卒業後、リクルートグループに入社し、主に人材紹介部門(現リクルート)でキャリアを積みながら、独学でベンチャーのIPO支援等を行う。 退職後、ネクストジャパンに経営参画し、CFOとして2004年に株式公開を実現。上場後、代表取締役社長に就任。2007年に退任し、ベンチャーへのコンサルティングや投資を行う。 2010年、ライドオンエクスプレスのCFOに就任。2013年に自身二度目の株式公開を経て、その後東証一部(現東証プライム市場)へ上場。 2015年、エースタートを設立、代表取締役 CEOに就任。同年より、Tech系ベンチャーファンドの運用を開始。2019年には、日本初の「宇宙ベンチャー特化型投資ファンド」をローンチ。起業家、上場企業社長、2度のIPOを牽引したCFO、投資家など、多彩な経験を併せ持つ事業家。